北京 その2


 
つづきです。
 
三日目、北京大学の生徒たちとゼミを行いました。
これは講演と違い(講演は通訳がつきました)、みんな日本語を話せる生徒たちでした。
彼らのメンタリティは、完全に僕たちと同じで、話し合っていると双方が別の国で暮らしているということを忘れてしまうほどでした。
別の国に、日本語を完璧に話し、日本のアニメ・マンガの話をする人たちがいる…。しかも彼らの容姿は一般的な日本の若い人たちとまるで変わらない。
今まで、色々な国で「日本のアニメ・マンガが好き」という多くの若い人たちと会いましたが、それらの印象とはちょっと違い…何というか…「日本人じゃん」という印象。
なんだか不思議な体験でした。
 
夜、ホテルでテレビをテレビを見ていると、ニュースで何度も日本の政治家が映し出されていました。
中国はとても日本を気にしているのだ、と思えました。
 
化粧品のCMでは、日本でもドラマに出ているリン・チーリンが目立っていました。
また新田次郎さんの『蒼穹の昴』がドラマ化されて放送されていました。中国では今、とても人気があると聞きました。特に西太后役の田中裕子さんは、中国でも『おしん』で知られていて、中国の人たちにも親しみがあるとのこと。
また、幾つかの日本ドラマも放送していたのですが、テロップでずっと(日本)と書かれていたのが印象的でした。だって、日本で洋画がテレビ放送さていても(アメリカ)とか(イタリア)って、テロップされないでしょ?
日本のドラマは以前からテレビ放送されていたらしいのですが、最近では韓国のドラマのほうがよく見かけるとのことです。
中国からは、日本も韓国も外国と言うよりはアジア圏として見えているのかもしれません。
 
四日目、講談社北京支局のKさんと食事をしました。
そこで中国の漫画状況を少し伺いました。
前回、書いたように地域によって日本漫画の浸透状況は違いますが、相当の数の日本漫画が翻訳されて読まれているようです。
中国発の漫画の状況も伺いました。
中国には日本のようなスタイルの漫画雑誌はないと聞きます。
(あるいは、あるのでしょうが、目立つものではないと思います)
漫画雑誌の運営はリスキーなので、それを行うのはなかなか難しいのでしょう。
代わりに、いわゆるラノベのようなものは数多くあるとのことでした。
つまり「漫画的なイラスト」を描ける作家は沢山いて、ティーン向けの小説にイラストを提供している、とのことでした。
多くの写真を拝見しましたが、もう日本のそれと比べ何の遜色もないように見えました。
これは、他の日本アニメ・漫画が知られている、どの国と比べても、最もクオリティが高いように思えました。
あるいは、そのような場所から中国発のオリジナルコンテンツが登場するのかもしれません。
 
それは、僕たちも「異国の作品」という違和感がない作品かもしれないし、あるいはそのときに日本のアニメ・マンガはどのような立ち位置なのか…。
そこはネガティブに考えることではなく、ワクワクするようなことじゃないですかね