仕事始め
本年、某ビデオスタジオで仕事始め。
28話。29話。
実は作画は25話が総力戦で、以降は綱渡りになることがわかっていた。
毎回、バラで作画のスタッフ編成をするので、以降、テレビ局への納品は綱渡りになる…はずだった。
そんな中、29話はT内君が作画監督として参加してくれた。
T内君はシリーズの制作が始まってすぐに「是非に」と頼み込んだひとりだった。
そんな風に頼んでも、多くの人には断られたのだが、T内君は義理堅く、快く参加してくれた。
29話のクオリティはその賜物だろう。
そもそも、この話はラストシーンから逆算的にストーリーが作られた。
転校ばかりしている彼。
いなくなったはずの彼が戻ってきた。
彼はいつも決まった時間に現れた。正直、私は彼が好きじゃない。いつも…彼は私の触れられたくない部分にズバリ、切り込んでくるのだ。
ある日、私は自分が変わったことに気が付いた。自己嫌悪が激しかった私だが、いつの間にか、その苦しみは無くなっていた。彼のおかげなのか? しかし、だとしても私は、やはり彼が嫌いだ。そして、いつの間にか彼はまたいなくなった。転校したのだと言う。
友人の見舞いで立ち寄った病院で、看護婦達の立ち話を聞いた。ある患者が亡くなったそうだ。その彼は、いつも決まった時間になると、病院を抜け出して、どこかへ行っていたらしい。どこへ? 彼は看護婦に言った。“大切な人に会いに行っている”と。亡くなった彼は、家族に“自分が死んでも、誰にも知らせないでくれ”と遺言したらしい。
…まさかね。まさか。だって彼は転校したのだ。きっと私の思い過ごしだ。私は、私の大切な“彼”が、また転校して戻ってくるのを待っているのだから。
そんなエピソードを落としどころにして、話を作ってみた…のだが。
脚本とコンテで、キャラクターの解釈をめぐってドタバタした。
制作的に最も辛い時期でもあり、それと相まってのヘビーな記憶のひとつだ。
今にして思えば、揉めるほどの相違はなかったんじゃないか、とも思うが、それほどスタッフの樹璃への想い(!)が強かったのだろう。
(オレがそう思いたいだけ?)
- 2008年1月21日(月)
- イクニ
